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活用実践事例集

2024/09/18

方眼式計算はなまるスキルで ワークテストクラス平均90点を維持する

本ドリルの特徴は、方眼式であること。方眼は、ひとつの武器となる。しかしながら、武器になると共に、使いどころによっては逆効果をもたらす。いわば劇薬の性格を持つ。
 
方眼式スキルを使いこなすには、教師の教材を観る目と技が必要となる。一つ言えることは、方眼を取り入れた教材は、今後の教材づくりに高い可能性を秘めているという事である。発展途上の教材であるので、ここでは、本教材のもつ利点と弱点を視野に入れて、率直に使うための技を示していく。

  • 永島 俊之元教諭

    元千葉県公立小学校初任者指導教員

<方眼式計算はなまるスキルの活用システム>

本スキルの構成は大づかみに言って、小単元(あるいは指導事項)ごとにステップ①とステップ②そして単元の終わりに「力だめし」のページがある。この三つのステップについて最初の単元である「1.大きい数のしくみ」を例に、活用システムを説明していく。さらにその中で、教材を補う教師の指導のポイントについても触れていく。

ステップ① 一斉扱いで確実に


ステップ①の役割は、学習の確かめであり、弱点補強である。一斉扱いで進めていく。
まずは、一人で問題を解く時間を確保する。時間は八割以上の子どもに合わせる。
次に教師主導で一問ずつ解説し、答え合わせをしていく。
そして誤答を取り上げ、なぜ間違えたかを共通理解する。
ここで予想される①の誤答は「4320」である。なぜなら答えの欄に4マスあるからである。方眼があると4と書いた後ついその後の位も書いてしまうのである。
そこで、次のように指導する。
 

<方眼式の指導のポイント1>
マスはすべてうめる必要はない。マスの数に惑わされるな!

 
一方②の正答は「百兆の位」である。これは4マスにぴったり入る。
そこで、次のように指導する。
 

<方眼式の指導のポイント2>
たまたま答えとマスが一致する場合もある。どちらにしてもマスの数に惑わされるな!

 
国語科のテストによく「□字以内で書きなさい」とか「マスに書きなさい」とかいう設問がある。このときは、字数が明記されているので、子どもは安心してマスを埋めていく。しかし、本スキルでは、油断ならないことをここで指導しておくのである。学習への緊張感を高めるにはある意味高度かもしれない。

ステップ② 一人➞全体➞一人の流れで


ステップ②の役割は次の通りである。

○子どもにとっては「現在の習得状況の自覚」という役割である。
○教師にとっては「個別に指導する情報の収集」という役割である。

 
したがって、ノイズをあらかじめ排除して、学習の習得状況をできるだけ正確に把握する必要がある。そのためにマスに惑わされないための「転ばぬ先の杖」が必要になる。
以下、ステップ②の事前の指導について記す。これは他の単元でも共通となる。
 
<事前の指導>
[1]の③について、次のように伝える。
マスはぴったりです。安心して全部うめます。
子どもは問題番号の③の前に○ぴと書く。
 
④⑤については、次のように伝える。
マスはぴったりかもしれませんし、余るかもしれません。気を付けよう。
子どもは問題番号の③の前に○?と書く。
 
[2]の⑥については、
マスはぴったりです。安心して全部うめます。
 
⑦~⑩については、
マスはぴったりかもしれませんし、余るかもしれません。気を付けよう。
双方とももちろん○ぴと○?を書かせる。
 
なお、これらの約束は、方眼式で学習する際の基本とすべきである。
さて、以上を経て、一人で解く時間となる。
ただし、ここから先は授業時間内に行うか、家庭学習(あるいは学校の隙間時間)で行うかで展開は変わる。学級の実情によるが、できれば授業時間内が望ましい。
 

<授業時間内で行う場合>
時間は5分間取る。終わった子は見直す時間となる。
終わったら一斉に答え合わせをする。
誤答はその子がその場で修正する。

 

<家庭学習(学校の隙間時間)で行う場合>
終わった子は教師に提出する。
教師はできればその子の前で即座に採点する。無理な場合は提出させて採点する。
その子がその場で修正する。

力だめし


 
<事前の指導>
1の①~⑤については、次のように伝える。
5問のうち4問はマスが余ります。
1問だけはマスぴったりになります。
後半の情報は与えなくてもよいが、これを伝えると、答えを見直す動機が出て来るので効果的と言える。
 
2の⑥⑦については、次のように伝える。
どちらかは家庭学習マスぴったりになります。
この情報も必ずしも伝える必要はないが、理由は同上である。
 
3については、「×」の位置をあらかじめ伝えて、×を書かせる必要がある。なぜならば、子どもが書く位置によって、マスが足りなくなる恐れがあるからである。この場合は、左のテストの×を参照されたい。
⑧⑨⑩とも問題番号から2マス右に行って、2マス下に行ったところに「×」を書きます。
実際に、板書やスクリーンで事前に示して×だけは全員に書かせる。
以上を終えて、制限時間を設けて、個々に取り組ませる。
終わった子どもは見直しをして待つ。
 
<事後の指導>
終了後、答え合わせを一斉に行う。誤答については、もう一度行わせ、是認が100点となることをめざす。
 
繰り返しになるが、方眼式の場合は、解答欄のマスが曲者である。そこで、次のことを子どもと共通理解したうえで取り組むことが必須である。
 

その1 必ずしもマスすべてうめるわけではない。マスぴったりになる場合もあれば、余る場合もある。
その2 マスが足りなくならないように、始めに+―×÷の記号を書く場所を教わる。

 
方眼式はいわば「諸刃の剣」である。その長所を活かしつつ、マイナス面を教師が事前に把握して、子どもに事前の指導を行うことと学級の約束事とすることが肝要である。

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