教材・サービス
活用実践事例集
2025/01/30
発見の楽しさで算数が変わる!子どもが夢中になる発見型「算数ドリル」の開発
子どもたちの算数への興味や理解を深め、学びをより楽しいものにするために、教育同人社は「筑波大学附属小学校 算数教育研究部」の先生方と新しい視点でドリルを開発しました。従来の反復練習に加え、「発見」や「気づき」を引き出す工夫を随所に盛り込んだこのドリルは、計算や図形の基礎の定着だけではなく、数学的な見方・考え方を育てることも目的としています。
今回は東洋館出版社発行「算数授業研究,2024,No.155/「数学的な見方・考え方」を育む 算数ドリル 子どもを夢中にさせる発見型『算数ドリル』」に掲載された、盛山隆雄先生が語るこのドリルの開発意図や工夫についてご紹介します。
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盛山隆雄先生
筑波大学附属小学校 算数教育研究部
[1]発見型ドリルをつくろう!
習熟を図るために反復練習をすることは大切だが、同じことの繰り返しは退屈になる。
そこで子どもたちが喜ぶような面白いしかけをつくり、練習を楽しむことができるようなドリルをつくりたいと考えた。そのしかけのポイントは、次の2つである。
①子どもの気づきや発見を引き出す。
②気づきや発見の内容は、数学的な見方・考え方を育てるものにする。
このドリルに取り組むことで、「そうか、わかった!」「そういうことか!」といったように、わくわくしながら意欲的にドリルに取り組む子どもが増えることを期待している。
そして、欲張りのようだが、計算の習熟だけではなく、数学的な見方・考え方を子どもに育てることをねらっている。
[2]計算の見方を鍛える
(1) 答えが同じになる
計算ドリルで答えが同じになる、というのは見たことがないだろう。通常ならばこれは問題の間違いとしてはじかれてしまう。ところが本ドリルでは、そういった問題を積極的に取り入れている。
次の小数×小数の問題を見てほしい。
これらの答えは「13.44」と同じである。
ところが式は異なるので、子どもは計算した後に「あれ、どうして同じなのかな?」と振り返ることになる。
よく式を見てみると、かけられる数は「9.6」→「3.2」と1/3になっていて、かける数は「1.4」→「4.2」と3倍になっている。そのため積が同じになることに気がつく。式の変化に着目して、かけ算の性質に対する感覚を磨く問題になっている。こういった問題の出し方は、整数×整数でもあるため、このドリルを継続的に使っていると、少しずつ慣れて気がつきやすくなる。
(2)小数点の位置だけずれている問題
次も小数×小数の問題を取り上げる。2つの問題を見ると、式の数値は同じで、小数点の位置だけが異なっている。小数×小数は、結局かけ算の性質を活かして、整数×整数の問題と見て計算する。そして、後から小数点の処理をすることになる。整数×整数は既習なので、この問題は新しい学びである小数点の処理の練習に絞って出された問題である。
子どものつまずきを捉えるために、整数×整数ができないのか、小数点の処理ができないのかを評価して指導に活かすためにも、思い切ってこのような問題も取り入れている。
[3]図形の見方を鍛える
(1) 立体の構成をもとに判断する
体積の問題である。下記のような(ア)と(イ)の立体の体積を求めた後に、振り返りとして(カ)の立体は、(ア)と(イ)のどちらの立体と体積が同じかを問う問題がある。
立体をよく観察すると、(ア)も(イ)も(カ)も欠けている部分がなかったら、「7×10×6」の直方体であることがわかる。そのことを見抜けば、あとは欠けた部分がどうなっているかを見ればよい。
(ア)は「4×4×7」、(イ)は「4×4×6」、(カ)は「4×4×6」の直方体が欠けている。(イ)と(カ)は同じ直方体が欠けているので、(イ)と(カ)が同じ体積ということになる。わざわざ体積を求めなくても、図形の辺の長さに着目した図形の見方によって解決できる問題になっている。
(2)辺の長さの関係をもとに判断する
下のような2つの立体の体積を求める問題があり、その後に、振り返りの問題がある。
振り返りは、「体積が24000000cm³の形を、(ア)~(ウ)の中から全部選びましょう。」という問題である。つまり、24m³を見つける問題ということになる。
(ア)と(ウ)の直方体をよく見ると、[1]の直方体との関係に気がつく。3つの辺の長さが、[1]は「3m、4m、6m」。(ア)は「3m、4m、2m」である。6mと2mの関係から(ア)は[1]の1/3の体積(24m³)であることがわかる。
同じように(ウ)の3つの辺の長さは「1m、4m、6m」。[1]は「3m、4m、6m」。1mと3mの関係から、(ウ)はやはり[1]の1/3の体積(24m³)であることがわかる。(イ)は2.4m³なので、答えは(ア)と(ウ)である。
(引用:算数ドリル5 年、教育同人社)
盛山隆雄先生以外の下記の記事は、算数ドリル紹介ページにてご覧いただけます。
[低学年]
確かな内容の理解と習得ができる!
数学的な見方・考え方が働く!算数の面白さを発見できる,“ しかけ” 満載ドリル
大野 桂先生
[中学年]
きまりに親しみ,性質や見方を適用していく
田中 英海先生
[高学年]
楽しく学びながら「深い理解」と「考える力」が身につく
青山 尚司先生
おもしろい発見がいっぱい! 「算数ドリル」詳細ページはこちらから
https://www.djn.co.jp/elementary/drillnote/math-drill/
教育同人社は、「発見」や「気づき」を通じて、子どもたちが算数に夢中になり、わくわくしながら思考力、見方・考え方を身につけるお手伝いをしたいと考えています。本ドリルは、筑波大学附属小学校 算数教育研究部の先生方と共に、子どもたちの視点に立ち、楽しみながら深い理解を促す仕掛けを追求して開発しました。
算数は、ただ計算ができるようになるだけではなく、考え方や見方を磨き、日常生活や将来の学びにつながる大切な力を育てます。だからこそ、このドリルを通じて、子どもたちに「わかった!」という喜びと算数の面白さを届けたいと願っています。
私たちは、これからも子どもたち一人ひとりの成長を支える教材をお届けし、教育現場の先生方と共に歩み続けます。本ドリルが、先生方や子どもたちにとって新しい発見と学びのきっかけになることを心から願っております。
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